サッポロビールの契約栽培ホップが外販を開始!
- こぐねえ

- 2025年12月10日
- 読了時間: 5分
100年以上前からホップ生産者と契約栽培を行っているサッポロビール。ホップの育種にも長年取り組んでいて、農林水産省に登録されている国産ホップ28品種のうち20品種がサッポロビールが開発したホップです。
そんなサッポロビールの契約栽培ホップがクラフトブルワリーに向けて外販を開始することになりました。
国産ホップを未来につなげるために
今回、ホップを外販することになった背景には日本国内のホップ産業の危機があります。
日本のホップ産業は、1968年(昭和43年)には3,295tの収穫量がありました。しかし、1970年代に入ると、価格の安い海外産の輸入や人件費の高騰から生産量が減少していきます。2022年には、生産者の高齢化や後継者不足もあり約120tまで落ち込んでいます。
このような状況の中、サッポロビールは国産ホップの調達、育種に取り組んできた立場として、「国産ホップの価値と可能性を広く伝えていく責任がある」と考えて行動に移すことになりました。
クラフトブルワリーに販売する理由
クラフトブルワリーに向けて販売を開始する理由について、サッポロビール購買部アシスタントマネージャーの楯優作さんは、「クラフトブルワリーは、ホップの個性や香りを生かしたビアスタイルが多く、私達よりも多くのホップを使用する傾向があります。彼らと一緒に国産ホップを使用していくことで、新しい価値や多様な味わいが生まれると考えたからです」と言います。

大手ビールメーカーとして独自に国産ホップの魅力や課題を取組むのではなく、クラフトブルワリーと共に使用することで明るい未来へ国産ホップ産業を導くことができると考えています。
確かに国産ホップを使用する機会が増えれば、国内のホップ生産者の生活が潤う可能性が高まります。そして、ホップ栽培に魅力を感じてホップ生産者になる人を増やせればホップ生産量も増やせる可能性も高まります。そうなれば危機を脱出できるかもしれません。
なお、外販で得た利益は、生産への還元や栽培振興などの支援に回されます。
まずは2品種から
まず販売する品種は2種類。日本を代表する品種である「信州早生」と、現在のサッポロビールのエースホップとも言える「リトルスター」です。今回は東北産のホップで、品種については収穫状況や市場ニーズに応じて変更・追加の可能性があります。
これらのホップを契約生産者組合から購入し、契約栽培組合でペレット加工したものを全国数百社のクラフトブルワリーと取引実績のある株式会社イー・エー・ティーを通じて通年販売します。
信州早生
1910年(明治43年)頃に、大日本麦酒(現在のサッポロビール、アサヒビールの前身)の育種・研究により誕生。交配育種は、北海道・札幌のホップ園で始まったが、その後の試作の結果、長野県の気候風土に適した品種であることが分かり、長野県での栽培が増えたため「信州」の名がついた。当初は「信州忽布(ホップ)」などと呼ばれ、1919年(大正8年)に正式に「信州早生」となる。
香りの特徴は、全体的に爽やかで心地よい香り。具体的には、レモンに近い軽やかな柑橘系や、若草のようなグリーンなフレッシュさが特徴。香りが穏やかでクセが少ないため、ビールのベースとなる風味を邪魔せず、飲み飽きないフレッシュな味わいに仕上げやすい。成分的には、アルファ酸(苦味成分)やベータ酸(アロマ成分)の値が安定していることも使用しやすい利点とされている。
日本の大手ビールメーカーではピルスナー系のビールで使用され、クラフトブルワリーでは、ペールエールやIPAなどの香りを楽しむスタイルにも使用される。
<商品詳細>
荷姿:1㎏袋・2㎏袋・5㎏袋に対応
加工形態:ペレットタイプ90
価格:5,700円/kg(送料別・税別)
クロップ:2025年
リトルスター
1988年(昭和63年)に交配が行われて、2005年に登録された品種。親にドイツのファインアロマホップ品種「テトナンガー」や「ザーツ」の系統を持つ。名前の由来は、小さくてやや長い卵型の球花(ホップの毬花)がたくさん実ることから、「小さな星」という意味で名付けられる。
特徴と魅力として、親譲りのファインアロマホップの特性を持ち、花のような上品な香りと、爽やかで穏やかな清涼感がある。また、香りが強すぎず、ビールのベースの風味を邪魔しないため、さまざまなスタイルに合わせやすい。さらに、優れた栽培特性をもっており、高収量性、耐病性、機械摘果性があり生産効率の良いホップとして高い評価を得ている。
<商品詳細>
荷姿:1㎏袋・2㎏袋・5㎏袋に対応
加工形態:ペレットタイプ90
価格:5,700円/kg(送料別・税別)
クロップ:2025年
まずは日本のホップ使用量の10%を目指したい!
「明確な目標時期を掲げられる段階ではないのですが、将来的にクラフトブルワリー全体で使用されるホップのうち国産ホップが10%にあたるシェアを獲得して、国産ホップの価値と可能性を広く伝えていきたいと考えています」と楯さん。
生産者の高齢化や人数の減少、地球温暖化の影響、海外産との価格など、様々な要因で衰退している日本のホップ産業。直ぐに解決ができる課題ではありませんが、何もしなければいずれは消えてしまう可能性が高いです。日本のビールシーンを盛り上げていくために、大手ビールメーカーとクラフトブルワリーが手を組んで、知恵を振り絞って良い未来へつなげていく姿勢はファンにとっても喜ばしい流れだと思います。
岩手県遠野市などでは独自の取組を行い、時間をかけて生産者を増やしている地域もあります。サッポロビールの新しい取組が、日本のビール業界にどんな流れを作り出していくのか。注目です!



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