「日本らしさ」にこだわって和食に合うビールを醸すfuns brewingを紹介します!
- こぐねえ
- 2月7日
- 読了時間: 8分
2024年3月に設立された大阪のfuns brewing。
今回、SNSを通じて試飲依頼がありましたので、ブルワリーやビールを紹介しながら飲んだ感想をお伝えします。
funs brewingとは?
約60年の実績があるマーケティング会社から「クラフトビール好き」が集まって立ち上げた“醸造所を持たないブルワリー”。彼らの強みであるマーケティングの力を使い、大好きな日本のクラフトビールを世界中の方に届けたいと願って大阪で活動されています。
活動の1つに「日本のおもしろいクラフトビールと一緒に、日本のおもしろい文化を世界に伝えたい」があります。
注目しているのは和食(日本食)です。美味しくて健康的な日本食を、世界中の人たちに知ってもらい、ファンになってほしいと思っています。そんな彼らが開発しているのが「日本食のおともにぴったりなクラフトビール」。このビールを通じて「日本食」がもっと世界中で愛されるようになり、日本が元気になる。そんなおもしろき風を吹かせたいと願っています。
ロゴは、日本のおもしろき風が集まって雲ができ、ふわりと世界へ飛んでいき、ビールという雨で、その土地土地に根付いてほしい思いが込められています。日本のおもしろきが広まってほしいという想いから、軽く楽しい印象の雲をモチーフ。よく見ると、ひらがなの「ふ」のようにも見えるロゴは、乾杯が増えて「ふふっ」と笑いが零れる日が増えていくことを思っています。

funs brewingは、和醸良酒という価値観に則って活動されています。これは、酒造りに携わる人の和の精神によって良酒(美味しいお酒)が生まれ、その良酒によって、造り手、売り手、飲み手のすべての人に和がもたらされるというものです。
「すべての人に和」がもたらされるために、7つの行動指針で活動しています。

清酒酵母と酒粕を使用した「酒の花」シリーズ
funs brewingではビールに清酒酵母と酒粕を使用しています。これは日本食との相性を追求しているためです。各ビアスタイルの特徴を活かしつつ、絶妙なバランスで清酒酵母と酒粕を用いることによって、複雑で豊かな風味を高めています。
現在、6種類のビールを販売しています(製造元はMARCA BREWING)。ここからは各商品の紹介とともにテイスティングしてレポートしたいと思います。
酒の花 SAISON
日本酒を作る工程でできる酒粕と清酒酵母を使用した、吟醸香感じるセゾンビール。ホップには日本発祥の品種「ソラチエース」を使用し、ホップ由来のヒノキやレモンのような香りを酒粕の柔らかさが包み込んだ新感覚の清酒系クラフトビール。日本食とも相性が良く、日常とは違った落ち着いた時間を過ごしたい日の食事のお供にぴったりの1杯。
テイスティングレポート
色は少しオレンジが入ったゴールド。グラスからは日本酒を感じさせる香りが立ちあがってきます。そこにソラチエースのキャラクターであるレモングラスやヒノキを思わせる香りが重なり爽やかでいい香りです。
飲んでみると、最初と最後に吟醸香を思わせるフレーバーを感じます。その間ではセゾンらしいホップのキャラクターが出てきます。2つの要素が喧嘩することなく、マッチングしていると思いました。

酒の花PALE ALE
吟醸感とペールエールの調和を目指した一杯。酒粕を使用しているので、少しビターながらほのかな甘みがあり、バランスの取れた仕上がりに。一口飲めば、モルトの豊かな香りと、日本酒特有のエステルが広がり、繊細な吟醸香が余韻を彩ります。焼き鳥との組み合わせがおすすめで、香ばしさと塩味をモルトの甘みとホップの苦味が引き立てます。
テイスティングレポート
色はペールエールのオーソドックスな感じ。きれいなブラウンです。柑橘を思わせる香りはペールエールらしいです。「酒の花SAISON」と比べると吟醸香は微かに感じる程度でした。フレーバーは、口に含むと麦芽の甘い風味が感じられ、後になるにつれて苦味が増していきます。後味は渋い感じもあって、しっかり苦いですね。

酒の花Session IPA
ドリンカブルでみずみずしい飲み口を追求したセッションIPA。軽やかでありながらスパイシーで豊かな香りが特徴。清酒酵母と酒粕が醸すほのかなエステル香とホップの香りが調和した一杯。ペアリングはカレーがおすすめ。カレーのもつスパイシーさとオイリーさに、ホップのスパイス感と軽さが調和し、ついつい次の一口が進みます。
テイスティングレポート
泡立ちは弱いですね。グラスに注いでも泡が立ちにくかったです(IPAだから泡は立てなくても良いのですが…)。ペールエールより淡い色あい。香りはIPAらしくグレープフルーツやオレンジと言った柑橘類をイメージさせる香りがあります。こちらも日本酒感は、あまり感じられませんでした。味は一言で言うと「大人しい」です。口当たりはみずみずしく、上品なIPAと言った感じでしょうか。ホップが効いたアメリカンIPAと比べると、かなり優しい味わいです。

酒の花WEIZEN
小麦と酒粕が織りなすまろやかで優しい味わいの一杯。ほのかな酸味がすっきりとした後味をもたらし、まったりしすぎずバランスの取れた飲み口が特徴です。また苦味がほとんどないため、一般的な苦味のあるビールが苦手な方にもおすすめの一杯です。
テイスティングレポート
ヴァイツェンとしては濁りは弱く、黄色ではなくオレンジ色っぽい色合い。香りはヴァイツェン特有のバナナを思わせる香りに、どことなく醤油のような香りも感じました。味わいはヘーフェヴァイツェンのようなボディがしっかりめではなく、クリスタルヴァイツェンみたいな軽さです。和食と合わせるなら、このくらいライトな方が合わせやすいのかもしれません。

酒の花RED ALE
焦がしカラメルのようなほろ苦い香ばしさと、マスカットのような爽やかさが特徴の酒の花レッドエール。少し甘さと焦げ感を含む食事と抜群の相性を見せ、ペアリングの楽しみを広げてくれます。一般的なビールを好む方にも、新しい味わいの入口としておすすめの一杯です。
テイスティングレポート
カラメルを思わせるアンバー色。とてもきれいな色合いです。グラスに鼻を近づけると、すっきりした甘い香りを感じます。こちらも清酒酵母と酒粕を思わせる香りは弱いですね。口に含むと、最初にカラメルを思わせる香ばしいフレーバーがフワッと広がりますが、すぐに消えてさっぱりとした味わいです。

酒の花Hazy IPA
一口飲むと熟したマンゴーを食べたときのような濃厚な香りと甘みが口いっぱいに広がります。そんな香りたっぷりのビールと繊細な日本食とのペアリングは、はたして成り立つのか?“未来のHazyIPA”に挑戦した一杯。
酒の花シリーズの特徴である「清酒酵母」を主発酵で使用することで、HazyIPA特有のジューシーさはそのままに、軽やかさとほどよいキレの良さをプラスすることに成功。クラフトビールの中でもIPAが大好き!という皆さまにも、日本食がお好きな皆さまにも、ぜひ味わっていただきたい一杯です。
テイスティングレポート
HAZY IPAですが、とてもクリアです。香りはジューシーなフルーツを思わせます。味はクリアです。HAZY IPAに感じられるしっかりした甘さではなく、すっきり爽やかな甘さです。この辺りが清酒酵母を使用した効果でしょうか。確かにキレのある味です。勝手に言うなら「ライト HAZY IPA」とか「JAPASE HAZY IPA」でしょうか。

専用ビールをうたっていますが、どのビールも色々な食事と合いそうだなと思いました。特に「酒の花 SAISON」は、どんな食事にも合うと感じました。
どのビールも良かったのですが、気になる点を挙げるなら清酒酵母と酒粕を使用している点です。「酒の花 SAISON」以外では特徴がわかりにくい点は気になりました。ウェブサイトでアピールするのであれば、もう少し特徴を引き出せると良かったなと言うのも正直な感想です。
恐らく、これからブラッシュアップをされて特徴も出てくるのだと思います。そういう意味では伸びしろを感じさせてくれるビールだと思います。これからも楽しみですね。
2024年10月には「酒粕ビール×日本食のペアリング体験」ができる直営のビアハウスが大阪・堀江にオープンして活動を広げています。ここでは「酒の花シリーズ」をはじめ、選び抜かれた全国各地のクラフトビール常時10種類を毎週入れ替えて提供しています。来店のたびに新しいビールと日本食とのペアリングを楽しんでいただける空間で、「酒の花シリーズ」専用のフードメニューも用意されています。大阪に行ったら試しに行ってみたいですね。
ビールは、オンラインショップでも購入できます。和食とのペアリングに興味がある人や新しいブルワリーへの関心が強い人は飲んでみてはいかがでしょうか。
最後に貴重な機会をくださったfuns brewing様、ありがとうございました。
【店舗情報】
営業時間:月~金:16時~22時
土日祝:12時~22時
定休日:なし(不定休)
住所:大阪府大阪市西区北堀江1-15-10 H1ビル
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