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森の香りを纏う一杯 ヤッホーブルーイングとヤソが紡ぐ、人と森をつなぐアップサイクルビールが誕生

  • 執筆者の写真: こぐねえ
    こぐねえ
  • 8月20日
  • 読了時間: 6分

この度、株式会社ヤッホーブルーイング(以下、ヤッホー)から長野県の森林資源利活用に取り組む株式会社ヤソ(以下、ヤソ)との画期的なコラボレーションビール「WORKS Ale#42 Forest Echo IPA」が発表されました。


こちらのビールは単なる新製品に留まらず、本来ならば廃棄されるはずの間伐材に新たな命を吹き込み、飲む人に長野の森の息吹を届ける「液体の物語」として誕生しました 。


今回は、「環境に優しい」というスローガンを掲げるだけでなく、ものづくりの本質とサステナビリティの新たな可能性を感じさせるプロジェクトを紹介します。


理念が導いた出会い


このコラボレーションは、ビールに「味を!人生に幸せを!」というミッションを掲げるヤッホーと、「森と寄り添う暮らし」を目指すヤソの理念が共鳴して実現したものです。はじめに簡単に2社の取り組みを紹介します。


ヤッホーブルーイングの「味を!人生に幸せを!」


ヤッホーブルーイングは、クラフトビール文化を日本に根付かせる一方で、持続可能な企業活動を積極的に推進しています。最近では、北海道日本ハムファイターズの選手が使用した折れた木製バットを原料に、芳香蒸留水を作成してビールに香りを付与したプロジェクトがあります。この事例は、廃棄される素材を新たな価値へと変えるという彼らの創造性と技術力を明確に示しているものです。今回の間伐材ビールも、この考えの延長線上にあります。一見、関連性のない素材から香り成分を抽出し、ビールに転用する独自の技術は、ヤッホーが持つチャレンジ精神の表れであると思います。


ビールの仕込みの様子
ビールの仕込みの様子

ヤソが目指す「森と寄り添う暮らし」


ヤソは長野県茅野市を拠点に、「森と寄り添う暮らし」をコンセプトとして掲げる企業です。その活動は、放置されがちな日本の森林問題、特に間伐によって生じる大量の枝葉の有効活用に焦点を当てています。本来、費用をかけて廃棄されるこれらの資源を、お茶や精油、ボディケア製品、インテリアなどの日用品へと生まれ変わらせることで、森林の価値を最大化して、林業が抱える労働条件の低下や担い手不足といった問題の解決を目指しています。


彼らの事業モデルは、単に廃棄物を再利用するだけでなく、その副産物から新たな価値を生み出すという、循環経済のより洗練された形を体現しています。主力製品である精油を抽出する過程で得られる「芳香蒸留水」は、保湿成分を含むなど、そのままでも価値の高い副産物です。今回のコラボレーションでは「芳香蒸留水」がビールの重要な原料となっています。


今回のヤッホーブルーイングとヤソのコラボレーションは、単に市場のトレンドに乗じたものではありません。ヤッホーが掲げる「ビールを通じて新しい価値を創造する」という考えと、ヤソが実践する「森の恵みを社会に還元する」という取り組みが共鳴した生まれたものです。ビールという身近な存在を通じて、日本の林業が抱える課題や、健全な森を維持することの重要性を飲み手に伝えるという共通の目標があります。


蒸留水製造の様子
蒸留水製造の様子

「芳香蒸留水」に含まれる繊細な森の香りをビールに溶け込ませる


WORKS Ale#42 Forest Echo IPA」では、ヤソがつくり出した「森の香り」を感じることができると言います。


ビールの仕込み工程は、主に仕込み、発酵、貯酒、そして「充填」の4つの工程を経て完成します。今回は、間伐材の枝葉を蒸留したウッディで清々しい「芳香蒸留水」を貯酒のタイミングで投入しています。貯酒の段階で投入することで、芳香蒸留水に含まれる繊細な森の香りを高温に晒すことなくビールに溶け込ませることができます。


このアプローチは、原料への深い敬意と、最高の味わいを追求する醸造家の繊細な感性が現れていると思います。



都会の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれる爽やかなアロマとフレーバーに癒される


今回、ヤッホーのご好意により試飲をさせていただけることになりましたので、ここに感想を記したいと思います。


色は無濾過という事で、少し濁りのあるイエローゴールドといった感じ。注いでいくとグラスから柑橘類のアロマが軽やかに立ちあがってきます。注いだ後に、改めて香りを楽しんでみると、軽やかなウッディなアロマを感じることができました。香りはグラスの形状や液温に違いで様々なアロマを感じることができそうです。


これは本来の意図とは異なるかもしれませんが、蒸し暑い都会の夏を吹き飛ばして爽快な気分にさせてくれます。酷暑で疲弊した心を潤してくれました。


口に含んでみては、ウッディなフレーバーが広がっていきます。感じ方としてはガツンではなくスーッという感じです。飲む前のイメージではクセのあるビールかなと思っていましたが、すっきりと何杯でも飲めてしまう飲みやすさのあるビールでした。これは良い意味で裏切られました。


ホップ由来のほろ苦さも良いアクセントになっていると思います。ホップの華やかな香りと、間伐材由来の清々しい森の香りが絶妙に調和しているので、都会の真ん中にいながらにして、自然を感じさせてくれます。飲むと夏の疲れが和らぐ「癒し系ビール」でした。


何かのアロマやフレーバーが突出しているのではなく、調和しているのでスーッと飲めてしまい、あっという間にボトルを飲み干してしまいました。これは余談ですが、このボトルが使われていたビールが分かる方は相当なヤッホー好きと思います。
何かのアロマやフレーバーが突出しているのではなく、調和しているのでスーッと飲めてしまい、あっという間にボトルを飲み干してしまいました。これは余談ですが、このボトルが使われていたビールが分かる方は相当なヤッホー好きと思います。

8月23日(土)「YONA YONA BEER WORKS」で特別な試飲会開催


この革新的なビールをいち早く体験できる特別なイベントが、8月23日(土)「YONA YONA BEER WORKS AOYAMA」にて開催されます。


イベントは、ビールを試飲のほかに、ビールの開発に携わったヤッホーの製造担当者や、ヤソの担当者からプロジェクトに込めた想いやこだわりを聞くことができます。また、蒸留水の展示やイベント限定のペアリングフードも用意され、参加者は物語の全体像を深く体験することができる内容を予定します。




1杯のビールが社会を変える可能性


1つのアップサイクルプロセスから生まれた副産物が、別の企業の主要製品の鍵となる素材となるという「2次的なアップサイクル」のループは、両社の深い連携と、それぞれの専門性を掛け合わせて新しいものを生み出していると思います。


間伐材という価値を見出されにくかった資源に光を当て、それを洗練されたクラフトビールへと昇華させたこのプロジェクトは、循環経済の可能性を広げるとともに、日本の地域資源と技術が持つ大きな潜在能力を示してくれたのではないでしょうか。


このビールを手に取ることは、林業を応援し、健全な森の維持に貢献し、そして良い未来を信じる造り手たちの情熱に応えることができるでしょう。飲み手1人の力は小さいかもしれません。しかし、1人の小さな選択も集まれば、社会全体を動かす大きな力となり得ます。この1杯は、人と森、そして、未来をつなぐ希望に満ちた物語の始まりになることを期待しています。


ビールの可能性を広げてくれる1杯を味わってみてください
ビールの可能性を広げてくれる1杯を味わってみてください

なお、WORKS Ale#42 Forest Echo IPA」は、8月24(日)より「YONA YONA BEER WORKS」全店にて数量限定で提供予定です。


※画像・動画はヤッホーより提供

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